Earth Home <地球の家>
Kiguchiya village, Makurazaki, Kagoshima, Japan 2011
木口屋集落、枕崎、鹿児島
木口屋集落は、鹿児島県枕崎市、標高140メートルの丘にある、いわゆる限界集落(約30戸、平均年齢70歳超)。だが、東西南北約1キロメートルの広さの中に、茶畑、ミカン畑が点在し、背後の旗山には、集落の旗がひるがえり、まさに里山の中に集落がある感じの村である。眼下には枕崎の市街地、そして港、東シナ海へと、展望が開ける。
「ここは天空の集落だ」と直感した。
そして、限界集落を『地球の家』に変容させるという、前代未聞の内容とスケールのアートプロジェクトがスタートした。初年度は、3つの空き地、畑跡などに、『地球の家』を構成するみんなのための広場づくりを行う。
全長50メートルの
眼下に東シナ海は見渡せる
そして小川に沿った
憩う・遊ぶ・学ぶための公共のスペースを集落に出現させる―。ここでは、誰もが
「地球の家の住人たち」ってことだ。
池田一 (IKEDA WATER 2/2 PM4より)
Arrow-shaped Water Hall
矢形の水広間
水広間の真ん中をまっすぐに貫いて、白い道が延びる。鹿児島ならではの火山土壌であるシラスを敷きつめた上に、『80リットルの水箱』が数十個列をなしている。それら水箱には、水を汲んで運ぶ手の写真がプリントされている。木口屋住民の手、地球の家の制作に携わった人たちの手、それに『地球の家』の訪問者の手もある。未来に大事な水を届けようというひとり一人のメッセージだ。
三段になって連なる段丘の、一番上の道に上がって、全長約50メートルの『矢形の水広間』を見下ろす。
先端が矢印になっている、その先が東シナ海に向かっていることが一目瞭然でわかる。そして、矢形は船の舳先で、水広間は東シナ海への航海に向けて停泊中の大きな舟に見えてくる。この水広間を訪れる人は、全て乗組員(クルー)のようなものだ。
Green Study
緑の書斎
樹々にこんもりと囲まれ、小川のせせらぎに心洗われる、ここは奥座敷といった佇まいの場所。生物多様性に関して、里山の重要性が叫ばれるが、ここの多様な植生に触れれば、絵解きのようにひもとかれる。緑の多様さに触れ、学び、考える、ここは生きた書斎ではないか。この奥座敷は『地球の家』の『緑の書斎』に格好の場所である。
樹々にこんもりと囲まれ、小川のせせらぎに心洗われる、ここは奥座敷といった佇まいの場所。生物多様性に関して、里山の重要性が叫ばれるが、ここの多様な植生に触れれば、絵解きのようにひもとかれる。緑の多様さに触れ、学び、考える、ここは生きた書斎ではないか。この奥座敷は『地球の家』の『緑の書斎』に格好の場所である。
棚門 Shelf Gate
棚門 Shelf Gate
小川に架かる小さな橋を渡ると、直ぐに赤褐色の壁土で覆われた<棚門>がある。棚には、周辺に自生している野バラとかツタなどの植物や、その周りの土壌をそのまま移植し陳列してある。書斎の棚に並ぶ書籍があるかわりに、<棚門>には「場所」の生物多様性をひもとくための索引が並べられている。
小川に架かる小さな橋を渡ると、直ぐに赤褐色の壁土で覆われた<棚門>がある。棚には、周辺に自生している野バラとかツタなどの植物や、その周りの土壌をそのまま移植し陳列してある。書斎の棚に並ぶ書籍があるかわりに、<棚門>には「場所」の生物多様性をひもとくための索引が並べられている。
十字水 Cross-shaped Water
<棚門>の向こうには、十字の形をして、東西南北に配置された<十字水>がある。横の小川から導水した水が十字の真ん中に静かに湧き出していて、地球のへそといった十字に生命力を与えている。どの方角に未来を読み解くのか、<十字水>の指し示す方向を順に回って思いを巡らせてほしい。